2011-06-18

悪人

週末ひとり映画祭、2本目は「悪人」。
ぜったい劇場で観ようと思っていたのにどうもタイミングが合わなかったやつ。
原作者の吉田修一の本は全部持っている。
彼の本は、大人の恋愛を描いたものと、この悪人のようにどちらかというとシリアス(これもじゅうぶんラブストーリーだと思うけど)なものに大きく分かれるけど、ぼくはどっちも好き。
春樹フォロワーなんて呼ばれていた頃もあったけど、今の彼より確実に世代の心をとらえていると思う。
漫画家でいうと浅野いにおみたいなタイプね。 

その中でも、この「悪人」は彼の中でも現時点のベストであることは間違いないだろう。
表面的な意味ではなくほんとうに“悪い”とはどういうことか、という哲学的ともいえるテーマに踏み込んで、そこに恋愛を絡めて、っていうベタといえばベタなものなんだけど、描写が上手だからいつのまにか感情移入しちゃって、最後はボロ泣き。 

原作がとても好きな作品の映画化っていつもあんまり期待せずにみて、案の定ひどかったっていうのが多いんだけど、これは良かった。
いろいろ賞を取ったみたいだけど、それもうなずける。 

まあとにかくこの映画は、深津絵里に尽きるね!
大きなスクリーンで観たかったな~と思わせる神秘的な美しさ。
こんなひとに「一緒に逃げて!」って言われたらそれはほいほいついていきますわ、と思わせる時点で成功しているキャスティング。
もちろん妻夫木も表情とかやっぱ上手いし、樹木希林は、内田裕也の妻である前に、ホンモノの女優だなあと思った。殺された女の子の役の子も、アホっぽさが前面に出ててよかったなあ。 

ラスト近く、灯台で祐一が光代に対してとんでもない行動に出たあと、手を伸ばすんだけどギリギリで届かない、っていうシーンで号泣。
この描写は原作になかったと思う。
この監督はじめてだけど、他のも見てみたいな。

でもやっぱり大事な場面やセリフをはしょってるから、意味が通じないところがけっこうあった。
お母さんにお金をせびる理由とかあれじゃ全然わかんないよ。
あと頻繁にセンチメンタルを強要してくる久石譲の音楽もうっとおしかった。

あんまり似てないかもしれないけど、これ見てぼくが日本一好きな監督・山下敦弘の「松ヶ根乱射事件」を思い出した。
そしてこの流れだと、当然「マイ・バック・ページズ」も観たいところであります。

2 件のコメント:

  1. 交換日記みたいなってる。。
    本読んでから行こうかな。てか映画館はいけなそうだけど。
    天コケの8倍おもろいから見て!

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  2. すべての日記にコメントをつけてやるぜ。マイバックページは学生運動について勉強してった方が理解しやすいと思うよ。松ヶ根乱射事件見てないや。天然コケッコーが特に好きだなあ。夏帆が好きだなあ。

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